自然妊娠は難しい?黄体機能不全の症状や原因、改善方法について

黄体機能不全が不妊の原因

黄体機能不全が不妊の原因

黄体機能不全という症状を知っていますか?黄体機能不全とはその名の通り、黄体機能が不十分な状態のことを言います。じつは黄体機能不全は、不妊の原因となる場合があるのです。

ここでは、黄体機能不全の症状や原因、改善方法を解説します。

排卵の仕組み

毎月起きる排卵と生理ですが、どのような仕組みで起こるか知っていますか?
黄体機能不全について説明する前に、排卵の仕組みについてご紹介します。
排卵のメカニズムを知っていれば、妊活にも役立ちますよ!ぜひ一緒に学んでいきましょう。

生理が終わると、次の排卵に向けて体が準備を始めます。
生理終了後、卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され始めます。FSHの刺激によって、卵巣の中では卵胞(卵子の入っている袋のようなもの)が排卵に向けて成長を始めます。卵胞が成長し始めると、卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌し始めます。エストロゲンの影響で、子宮内膜が少しずつ分厚くなります。卵胞が2㎝ほどまで大きくなると、排卵が起こります。
排卵の前には、黄体化ホルモン(LH)が大量に分泌されます。LHが分泌された後36時間以内に排卵が起こります。
排卵後、卵胞は黄体という組織へと変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。排卵後はプロゲステロンの影響で体温が上がるので、基礎体温は高温期に入ります。プロゲステロンは子宮内膜をさらに分厚くし、妊娠の維持をする働きがあります。さらに乳腺の働きを促します。生理前に胸が張ってしまうのはこのためです。
黄体機能不全の場合、黄体から十分な量のプロゲステロンが分泌されません。そのためさまざまな症状が現れます。

黄体機能不全の症状

黄体機能不全の代表的な症状は、高温期が持続しないことです。一般的に高温期は12~14日程度持続しますが、黄体機能不全の場合は9日以下です。
また、低温期と高温期の体温の差が少ないです。一般的に0.5度以上体温が上がる場合が多いですが、0.3度以下しか上昇しません。
同時に子宮内膜も十分に発達せず、薄い場合が多いです。

自覚症状としては、生理前のイライラや頭痛などのPMS症状が軽いこと、生理の出血が少なく軽いこと、などがあげられます。また、不妊になる場合もあります。

黄体機能不全の場合、痛みなどのつらい症状があまり見られないので、自分では気が付かない場合も多いです。基礎体温の測定を続けることで発見することができるので、将来的に妊娠を考えている女性は、一度測定してみることをおすすめします。

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因は、はっきりとはわかっていません。現段階では、3つの仮説が有力視されています。

1.脳下垂体のホルモン分泌低下が原因

先ほど述べたように、排卵するためには卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が必要です。これらのホルモンを分泌しているのは脳にある、脳下垂体という小さな器官です。脳下垂体から分泌されるFSHとLHの量が少なくなると、卵胞や黄体の成長に影響が出てしまいます。その結果黄体機能不全になります。

2.子宮内膜が原因

一般的には、黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きで子宮内膜が分厚くなります。しかし中には、プロゲステロンが分泌されても子宮内膜が分厚くならないタイプの人もいます。

3.他の疾患が原因

高プロラクチン血症(プロラクチンというホルモンの血中濃度が高い)や多嚢胞性卵巣症候群(排卵されず卵巣の中にたまる病気)が原因になる場合もあります。これらの病気にかかっている場合は、ホルモンの分泌が妨げられる場合があります。

黄体機能不全の治療方法

黄体機能不全は治療を行うことで症状が良くなります。もちろん妊娠も可能です!
主な治療方法として、排卵誘発剤の使用や黄体補充療法(子宮内膜を維持するためにホルモンを投与する)を行います。
また、病院によっては体質改善のために漢方薬を利用する場合もあります。

黄体機能不全の予防方法

黄体機能不全を予防するために、日ごろの生活習慣や食生活を見直すことから始めてみましょう。生活リズムが乱れると、自律神経のバランスも悪くなります。その結果ホルモンのバランスや分泌も悪くなってしまいます。まずは規則正しい生活を送ることが大切です。

ストレスの貯めすぎも良くありません。ストレスがたまると自律神経に影響が出てしまいます。夜はゆっくり休み、適度にリラックスし、気分転換を図るようにしましょう。

体を温めることも大切です。黄体機能不全の場合は、高温期の体温上昇が緩やかな場合が多いです。しっかり体を温めてあげましょう。夏場もシャワーだけで済まさず、湯船につかるようにしましょう。足浴や腹巻などもおすすめです。

食生活も大切です。体を冷やしすぎる生野菜や冷たい食べ物は食べ過ぎないように注意しましょう。体を温める根菜やしょうが、温かいスープなどを食べるようにしてください。できるだけバランスの良い食事になるよう心がけてくださいね。

ビタミンEの摂取も効果があると言われています。ビタミンEには黄体ホルモンを増加させたり、下垂体に働きかけたりとさまざまな効果があります。ビタミンEを多く含むアーモンドや小松菜、ホウレンソウなどを積極的に食べましょう。葉酸サプリにビタミンEが添加されているものを選ぶのもおすすめです。

早めに病院を受診が大切

このように、黄体機能不全にはさまざまな症状があります。自分では気が付かない場合も多いので、高温期が短い、基礎体温が低いなどのトラブルが見られる時には早めに病院へ行きましょう。もちろん妊娠は可能なので、過度に心配しすぎないようにしてください。

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