受精卵のグレード気になりませんか?着床率はグレード3で約20%

受精卵のグレード気になりませんか?
体外受精をされている方、ステップアップを考えている方にとって、とても気になるのが受精卵のグレードといわれるものではないでしょうか?
受精卵のグレードはクリニックや培養士により判断されます。判断基準には主にVeeck(ビーク)分類、Gardner(ガードナー)分類が使われています。
今回は、受精卵のグレードについて、その着床率について紹介していきます。


受精卵とは

受精卵とは、卵子と精子が融合して生まれた細胞のことです。大きさは約1㎜程度。受精卵は、受精後、時間をかけて細胞分裂を繰り返し、子宮内へ着床できる状態へ変化していきます。
受精後1~2日目で2~4つの細胞に分割し、「初期胚」と呼ばれる状態へ変化し、5~6日目には「胚盤胞」といわれる状態へ分割していきます。


グレードの判定

多くのクリニックではVeeck分類、Gardner分類というものが使われています。

初期胚のグレード判定に用いられるVeeck(ビーク)分類

細胞が均等でフラグメンテーション(細胞の破片)がない状態のもの:グレード1
細胞は均等でフラグメンテーションがわずかにある状態のもの:グレード2
細胞が不均等で少量のフラグメンテーションがある状態のもの:グレード3
細胞が不均等でフラグメンテーションも多い状態のもの:グレード4
細胞がほとんど見られず、フラグメンテーションで埋め尽くされている状態のもの:グレード5

初期胚の場合はグレードの数が低いほど良い受精卵とされます。

胚盤胞のグレード判定に用いられるGardner(ガードナー)分類
この分類は受精卵が5~6日目まで育った胚盤胞の場合に用いられます。

空洞・胚盤腔(成長の広がり)が全体の半分以下の初期胚盤胞:グレード1
胚盤腔が半分以上の初期胚盤胞:グレード2
胚盤腔が完全に広がった完全胚盤胞:グレード3
胚盤腔が拡大し、透明体が薄くなった拡張期胚盤胞:グレード4
透明体を破り、一部が抜けかかった胚盤胞(孵化中胚盤胞):グレード5
透明体から完全に抜けた状態の胚盤胞(孵化後胚盤胞):グレード6

と数字でのグレードを付けたあと、グレード3以上は、内細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)の状態をA、B、Cの3段階で評価します。

内細胞塊のAは「細胞同士が密でしっかりしている」状態で、細胞が少なく、粗くなるにつれ、B、Cと判定されます。
栄養外胚葉はAが「細胞数が多く、上皮を形成している」状態で、これも細胞が少なく、粗くなるにつれ、B、Cと判定されます。
胚盤胞のグレードの場合は、グレードの数字が大きいほど良い状態とされ、A、B、Cの状態で良いグレードの胚盤胞と判断されます。胚盤胞のグレードは「4AB」などと表記されることが多いです。


初期胚の着床率

年齢や子宮の状態、ホルモン値によって着床の確立は変わってきます。
初期胚のグレード3まではだいたい約20%程度と言われています。


胚盤胞の着床率

初期胚から胚盤胞までに培養化で育つ確率は約30%程度とされています。ただし、卵子の状態が良ければその確率は高くなりますし、卵子の状態が未熟だったり、良くない場合は培養途中で成長が止まってしまう場合があります。
胚盤胞は着床寸前の状態の受精卵なので、初期胚に比べ、着床率が高いです。
AA、AB、BAの比較的状態が良好な胚盤胞の場合は50%程度とも言われており、グレードがBB、BC、CB、CCと下がるにつれ着床率は低下していきます。


最後に

受精卵のグレードはVeeck分類、Gardner分類により判別されます。
初期胚ですと、グレードが良くても着床率は20%程度で自然妊娠とそんなに変わらない確率になります
胚盤胞ですと、グレードが良いとされる受精卵の着床率は50%程度とかなりあり、妊娠の可能性が高くなります。
しかし、一概にグレードが悪いから着床しないというわけではありません。中にはグレードが悪くても無事着床、妊娠、出産された方もいらっしゃいます。
受精卵のグレードは顕微鏡下で見た形としての判断で、妊娠に至るまでには、子宮内膜であったり、ホルモン値であったり、その他の要因が関与する場合も数多くあるので、グレードが悪いからといって諦めずに、受精卵と自分を信じて、移植に臨みましょう。

こちらのコラムも人気です!