意外と多い!?卵管障害「卵管癒着」と「卵管閉塞」の違いと原因

不妊症の原因はさまざまありますが、そのひとつとして、卵管障害による不妊が挙げられます。
卵管障害として、「卵管癒着」「卵管閉塞」があり、これらの症状で不妊に悩む方も多くいらっしゃいます。

卵管とは

卵管とは、卵子を卵巣から子宮に運ぶ、長さ約10㎝の管です。左右にあります。
卵巣から排出された卵子を、卵管采という卵管先端でキャッチして取り込み、卵管の中へ運びます。卵管の中に運ばれた卵子は精子と受精し、受精卵となり、受精卵は卵管の中で成長しながら、子宮内へ運ばれ、子宮内の子宮内膜にはりつくことで着床となります。

卵管癒着とは

卵管癒着は、卵管で炎症が起きてしまうことにより、卵管や卵管周囲が癒着してしまっている状態です。卵管周囲の癒着は、発見されにくい不妊原因のひとつです。
卵管が癒着すると、卵子を卵管内に取り込む卵管采がうまく動かず、卵子が卵管にとどかないので、妊娠に至りません。

卵管癒着の原因

子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染症による卵管炎や腹膜炎、開腹手術をしたことによる卵管周囲の癒着があります。
近年増えてきている、クラミジア感染症は性感染症のひとつです。
クラミジア感染症は、自覚症状がないことが多く、発見時には重症化している場合が多く、卵管や子宮頚部で炎症が起こり、卵管や卵管周囲の癒着を引き起こします。
また、過去に開腹手術をしている場合、手術をしていない場合よりも高確率で卵管周囲の癒着が認められたという報告もあります。

卵管癒着の自覚症状

卵管癒着をしていてもほとんど症状はありません。気づかないうちに癒着を起こして不妊になっている場合が多いです。

卵管閉塞とは

卵管閉塞は、卵管が詰まってしまい、卵管が塞がれてしまうことにより、卵子や精子が通過できない状態です。
卵管が通常よりも狭くなる「卵管狭窄」の場合もあります。その場合、精子が通れるほどの幅はあっても、受精卵が通るほどの幅がないことがほとんどなので、妊娠する確率は極めて低いです。

卵管閉塞の原因

卵管閉塞の原因は、卵管癒着の原因のひとつである、クラミジア感染症や淋菌などの感染による卵管炎です。卵管癒着がひどくなってしまうと、卵管が詰まり、卵管閉塞を引き起こしてしまう場合が多くあります。

卵管閉塞の自覚症状

卵管閉塞は、子宮頸管炎や子宮内膜炎、卵管炎などと併発する場合が多く、卵管周辺の臓器の炎症によって症状が現れることがあります。
卵管頸管炎の場合は、膿性のおりものが増えたりします。子宮内膜炎や卵管炎の場合はおりものの増加だけでなく、下腹部痛や不正出血が現れることもあります。

最後に

卵管癒着、卵管閉塞、両者も原因は、クラミジア感染症などによる卵管炎や子宮内膜炎、子宮頸管炎がほとんどです。
卵管癒着がひどく進行してしまうことにより、卵管閉塞を引き起こしてしまう場合も多くあります。
症状がほとんどなく、気づいたときには重症化している場合が多く、卵管に障害が残ってしまうことがあります。
女性にとって、産婦人科での検査は恥ずかしく、痛みや苦痛を伴うことは多いですが、将来、子供を授かりたいと思われている方だけではなく、女性の生殖機能の健康を保つためにも、気になる症状があれば、早め早めの受診を心がけましょう。

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